管理会社の電話が減らない理由と、減らす7つの方法|入居者・仲介会社・オーナーからの入電を用件別に減らす手順

2026.09.18監修:株式会社Rabona AI 代表取締役 鳥邉 翔

この記事は、管理戸数500〜5,000戸規模の賃貸管理会社で、管理部門の責任者や現場のリーダーを務めている方に向けて書いている。担当者の携帯が一日中鳴り、事務所の代表電話に出るたびに管理業務が止まり、人を増やしても電話が減った実感がない。その状態から抜け出すために、電話が減らない構造と、減らす7つの方法、30日で進める手順を整理する。

結論から述べる。管理会社の電話が減らないのは、入居者や仲介会社が電話を好むからではなく、「電話でしか答えを得られない状態」を管理会社側が作っているからである。入電を相手と用件で数え、「答えが決まっている電話」から順に電話以外の受け皿かAIの一次受けへ逃がしていくと、担当者が出る電話は判断が必要なものだけに絞れる。賃貸管理AIコールセンターくんのような一次受けの仕組みは、その最後の段階で残る電話を受け止めるためのものだ。


なぜ管理会社の電話は減らないのか?

人を増やしても、電話代行を入れても、電話が減った実感がない。その原因は個々の担当者の対応ではなく、入電が生まれる構造にある。3つに分けて見ていく。

入居者は電話しか窓口を知らないのではないか?

契約時に渡す書類に管理会社の電話番号しか書かれていなければ、入居者は用件の大小にかかわらず電話をかける。家賃の引き落とし日、更新書類の書き方、ゴミの分別、駐輪場の申請。どれも答えは規程で決まっているが、入居者にはそれを確認する手段が電話しかない。LIFULL HOME'S Businessの賃貸管理会社の電話対応に関するコラムでも、一次対応の質が問われる背景として、入居者にとって電話が唯一の接点になっている実態が指摘されている。

仲介会社の物確はなぜ繁忙期に集中するのか?

仲介会社からの物件確認(物確)は、空室の有無と内見の鍵手配を聞く電話で、1本ごとの内容はほぼ同じである。ところが1〜3月の繁忙期には案内件数に比例して一斉に増える。いえらぶCLOUDは物件確認の解説記事で、繁忙月の物確電話を約10,000本・約333時間と試算している。空室データを見れば答えが決まる電話に、担当者1人分以上の月間労働時間が使われている計算だ。

担当者の携帯に直接かかる構造はどう生まれるのか?

一度でも名刺の携帯番号にかけてつながった入居者や業者は、次からも代表番号ではなく携帯にかける。担当者は現場や商談中でも出ざるを得ず、出られなければ折り返しが積み上がる。この「直通化」は担当者の善意で広がるため、本人が意識して止めない限り戻らない。代表番号に集約し、代表番号側で用件を振り分ける仕組みがないと、電話は担当者個人に集まり続ける。

まず何を数えればよいのか? 入電を「相手×用件」で分類する

減らす方法を選ぶ前に、直近1か月の入電を数える。着信履歴と応対メモがあれば半日で終わる作業だが、これをやらずにツールを入れると、効果の小さい入電に費用を使うことになる。分類の軸は「相手」と「用件」の2つで、次のような表を作る。

相手 \ 用件設備トラブル手続き・確認物確・鍵手配クレーム・相談合計
入居者件数・うち営業時間外件数-件数
仲介会社-件数件数・うち繁忙期-
オーナー件数件数-件数
協力業者件数件数--

表が埋まると、2つのことが分かる。1つは「答えが決まっている電話」の比率で、多くの管理会社では入居者の手続き・確認と仲介会社の物確を合わせて半分を超える。もう1つは「時間帯」で、設備トラブルのうち営業時間外の比率が分かれば、夜間の一次受けを外に出したときに担当者の携帯が鳴らなくなる回数が見積もれる。管理戸数あたりの月間入電数も出しておくと、戸数を増やしたときの電話の増え方を予測できる。

管理会社の電話を減らす7つの方法は、それぞれ何に効くのか?

7つの方法を、向いている入電、効果、費用、着手の速さで比べる。上から順に取り組むべき順序ではなく、自社の入電表で件数が多い用件に効くものから選ぶ。

方法向いている入電効果費用着手の速さ
1. 入居者アプリ・Webフォームで受け皿を作る入居者の手続き・確認、軽微な修繕依頼大(若年層の定型用件)中(月額制)数週間
2. FAQと入居者しおりの整備引き落とし日、ゴミ出し、更新書類などほぼゼロ数日
3. 物確の自動応答(専用IVRかAI電話)仲介会社の空室確認・鍵手配大(繁忙期)数週間
4. 夜間・休日の一次受けをAIか代行へ営業時間外の設備トラブル大(担当者の携帯)最短即日〜数週間
5. 代表番号への集約とIVRの振り分け担当者の携帯に直接かかる電話全般数日
6. 定型手続きのSMS・Web化解約受付、更新、引き落とし日の案内数週間
7. 協力業者との直接連絡ルールの整備業者からの日程確認・完了報告ほぼゼロ数日

1. 入居者アプリ・Webフォームで受け皿を作るとどこまで減るのか?

修繕依頼や各種申請をアプリやフォームから受け付けると、日中の手続き・確認の電話が減る。効くのは若い入居者の定型用件で、高齢の入居者や緊急時には効きにくい。注意点は、受け皿を作ったからといって電話番号の案内をやめないこと。電話が最後の窓口として残る入居者は必ずいる。

2. FAQと入居者しおりの整備は本当に効くのか?

効く範囲は限られるが、費用がかからず数日で終わる。入電表で「同じ質問」が上位に来ているなら、その回答を契約時のしおりと管理会社のサイトに載せる。いえらぶCLOUDの管理会社の電話削減方法の記事でも、電話で聞かないと分からない状態をなくすことが最初の手段として挙げられている。

3. 物確の自動応答は専用IVRとAI電話のどちらがよいのか?

仲介会社が物件名と号室を告げ、空室状況を聞く電話は、管理システムの空室データと連携すれば自動で答えられる。物確専用の自動応答サービスは番号入力や音声認識で物件を特定する方式が主流で、AI電話は話し言葉のまま物件を特定し、鍵手配の希望日時まで受け付けられる。物確だけを切り出すなら専用サービス、夜間の設備一次受けや手続き受付も同じ番号で受けたいならAI電話という分け方になる。詳しくは物確電話の自動応答システム比較で整理している。

4. 夜間・休日の一次受けを外に出すと担当者の携帯はどうなるのか?

営業時間外の設備トラブルは、担当者の携帯を鳴らす最大の要因である。一次受けをAIか有人代行に任せ、「水が止まらない」「鍵が開かない」「ガスの臭い」のような即時対応が必要な症状だけを取次ぐ線引きを決めれば、深夜に担当者が出る電話は月に数件まで減る。緊急度の線引きの作り方は夜間の設備トラブル電話の受付フロー設計にまとめている。

5. 代表番号への集約とIVRの振り分けは何を変えるのか?

名刺の携帯番号への直通を止め、代表番号で用件ごとに振り分ける。「設備のトラブルは1、手続きは2」のような番号入力の振り分けでも、担当者に直接届く電話は減る。ただし番号入力は高齢の入居者に不評で、途中で切られやすい。話し言葉で用件を聞き取る一次受けと組み合わせると、振り分けの取りこぼしが減る。

6. 定型手続きをSMS・Web化するとどの電話が減るのか?

解約の受付、更新書類の案内、引き落とし日の確認は、口頭で伝えると聞き間違いが起きやすく、電話が二度三度と発生する。受付をWebに置き、案内をSMSで送ると、1回で完結する。NTT東日本の不動産管理向けの電話自動化コラムでも、振込口座の確認や修理依頼のような定型問い合わせを自動応答で担当部署へ振り分ける構成が紹介されている。

7. 協力業者との直接連絡ルールで減る電話とは?

修繕の日程確認や完了報告のたびに業者から管理会社へ電話が入り、管理会社が入居者へかけ直す。この往復を、業者と入居者が直接日程を決めてよい範囲を決めておくだけで減らせる。費用はかからないが、業者側にルールを周知する手間と、報告の記録先を決める作業が必要になる。

受け皿を作っても電話が残るのはなぜか? 残る電話をどう受けるか

7つの方法を全部やっても、電話はゼロにならない。残るのは3種類である。1つ目は高齢の入居者で、アプリやWebを使わない。2つ目は緊急時で、水漏れや鍵の紛失のときに人はフォームを探さない。3つ目は感情のある用件で、騒音や近隣トラブルは「聞いてほしい」という動機で電話になる。

この残った電話は、件数が減った分だけ1本あたりの重さが増す。だからこそ、残った電話を「待たせず、取りこぼさず、用件を記録して」受ける一次受けが必要になる。AIの一次受けは、物件名・号室・氏名・症状を聞き取り、緊急度で取次ぎと記録を分け、結果を担当者へ通知する。番号を押す操作がなく話し言葉で受けられるため、高齢の入居者にも使える。クレームや滞納交渉は聞き取りと記録までに留め、判断は人へ渡す。この線引きは管理会社の電話対応をAIで自動化する方法で詳しく述べた。賃貸管理AIコールセンターくんはこの一次受けを、いまの電話番号のまま、営業時間外だけでも入れられるように設計している。

減らした後、担当者に残る電話は何か?

最終的に担当者が直接受けるべき電話は、判断を伴うものに絞られる。近隣クレームで謝罪や措置を決める電話、家賃滞納で支払い計画を話し合う電話、オーナーからの修繕や賃料に関する相談がそれに当たる。入居者からのクレーム電話の一次受付家賃の入金確認・督促電話の自動化のように、これらも聞き取りや事前の連絡はAIに任せられるが、判断そのものは人の仕事として残る。担当者の時間をこの電話に集中させることが、電話を減らす目的である。

公表されている実績はどう読めばよいのか?

「AIで7割減る」といった数字は根拠が自社試算のものが多い。一次ソースで確認できる実績を挙げる。

住まいの管理業務で90%前後の自動化率が出るのは、入電の用件が定型化しているためで、代表電話全体では50〜60%台が目安になる。自社の入電表で「答えが決まっている電話」の比率を出せば、この数字に届くかどうかは事前に見当がつく。

30日でどう進めるか?

  1. 1〜5日目: 入電を数える。直近1か月の着信履歴と応対メモから「相手×用件」の表を作り、営業時間外と繁忙期の比率も出す。
  2. 6〜10日目: 費用ゼロの2つをやる。FAQと入居者しおりの整備、協力業者との直接連絡ルールを決めて周知する。
  3. 11〜15日目: 直通を止める。名刺と契約書類の連絡先を代表番号に統一し、携帯にかかってきた電話は代表番号への案内で切り替える。
  4. 16〜25日目: 営業時間外の一次受けを入れる。即時取次する症状のリストを管理規程から起こし、AIか代行の一次受けをデモで確認して開始する。
  5. 26〜30日目: 数字を見て次を決める。担当者が直接受けた件数、一次受けの完結率、折り返し漏れを数え、次に逃がす用件(物確か定型手続き)を選ぶ。

費用の比較は賃貸管理の電話代行とAI電話の費用比較に、1コール単価への換算手順を含めてまとめている。反響対応の電話については入居者対応とゴールが違うため、反響AIコールくんとして別に設計している。

よくある質問

電話を減らすと、入居者の満足度は下がりませんか?

下がりません。入居者が困るのは「電話がつながらない」「折り返しが来ない」ことであって、電話をかける行為そのものではありません。電話以外の受け皿を用意し、残った電話も一次受けで待たせずに用件を受け取る体制にすれば、むしろ「いつでも受け付けてもらえる」状態になります。当社が公開している事例でも、AIが一次受けした電話は用件と連絡先を記録した上で担当者に通知されるため、折り返し漏れが減っています。注意すべきなのは、受け皿を作っただけで電話番号を案内しなくなる運用です。高齢の入居者や緊急時は電話が最後の窓口になるので、電話番号は残したまま、答えが決まっている用件だけを他の窓口へ誘導するのが原則です。

最初にどの入電から手を付けるべきですか?

「件数が多く、答えが決まっていて、担当者の判断がいらない」入電からです。多くの管理会社では、仲介会社からの物確と、営業時間外の設備トラブル一次受けがこれに当たります。物確は空室データを見れば答えが決まり、繁忙期に集中するため自動応答の効果が数字で出やすい領域です。夜間の設備トラブルは、緊急度の線引きさえ決めれば一次受けをAIか代行に任せられ、担当者の携帯が深夜に鳴る回数がすぐ減ります。逆に、クレームや滞納交渉のように感情や判断が絡む電話は最後に回します。直近1か月の入電を相手と用件で数えれば、この順番は自社の数字で決められます。

入居者アプリを入れれば電話はなくなりますか?

なくなりません。アプリは「若い入居者の定型手続き」に強く、「高齢の入居者」「緊急時」「感情のある用件」には効きにくいためです。アプリを導入した管理会社でも、電話は減っても残ります。残った電話は件数が減った分だけ1件あたりの重さが増す傾向があり、水漏れや鍵の紛失のような緊急の電話、騒音のような感情のある電話の比率が高くなります。したがって、アプリと電話の一次受けは片方を選ぶものではなく、アプリで定型手続きを逃がし、残った電話をAIか人が一次受けする二段構えで設計するのが現実的です。

AIの一次受けと有人の電話代行はどう使い分けますか?

用件の性質と件数で分けます。設備トラブルの聞き取り、物確の空室回答、解約や更新の受付のように、聞き取る項目が決まっている電話はAIが向いています。24時間同じ品質で受け、件数が増えても単価が上がりにくいためです。一方、オーナーからの相談や、入居者が強い不満を持っている電話は、人が受けた方が収まりやすい場面があります。有人代行は1件あたりの単価が高く、繁忙期に件数が増えると費用も比例して増えるため、AIで一次受けをして「人が話すべき電話」だけを代行か自社の担当者に渡す構成にすると、費用と品質の両方を保てます。費用の比べ方は当社の別記事「賃貸管理の電話代行とAI電話の費用比較」で整理しています。

減らした結果はどの数字で確認すればよいですか?

3つの数字で追います。1つ目は担当者が直接受けた電話の件数で、これが本来減らしたい数字です。2つ目は一次受け(AI・代行・アプリ)で完結した比率で、公表事例では住まいの管理業務で90%前後、代表電話全体では50〜60%台が目安になります。3つ目は折り返し漏れと入居者からの再入電の件数で、これが増えていれば受け皿が機能していません。月に一度、入電を相手と用件で数え直し、担当者に残っている電話の内訳を見れば、次に逃がすべき用件が分かります。

小規模な管理会社でも同じ方法が使えますか?

使えます。管理戸数が数百戸の会社ほど、担当者が電話と現場を兼務しているため、電話1本の重さが大きくなります。入電を数える作業は、1か月分の着信履歴とメモがあれば半日で終わります。7つの方法のうち、FAQと入居者しおりの整備、協力業者との直接連絡ルールは費用がかからず、物確の自動応答と夜間の一次受けは月額制のサービスで始められます。まず担当者の携帯に直接かかる電話を代表番号に集約し、営業時間外の一次受けをAIに任せるだけでも、担当者が電話に出る回数は目に見えて減ります。


この記事は反響AIコールくん運営チーム(株式会社Rabona AI)が、公開されている一次ソースと当社導入事例をもとに作成し、音声AIの開発・運用実務の観点から監修しています。更新履歴: 2026-09-18 初版公開。

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